今や中学受験と塾は切っても切れない関係にあります。もちろん、塾なし・家庭学習のみで合格を勝ち取る子もいるにはいますが、それは「あの子塾なしで合格したらしいよ、すごいね!」と話題になる程度に珍しいもの。
しかし中学受験のための塾通いは、とても高い買い物です。一般的な入塾時期と言われる小3の冬から小6卒業までの3年間通うと、その総額は200~300万万円にもなります。
塾ごとに個性も異なりますから、「入ってみたもののなんか違う」ということになれば転塾が必要で、それもなかなか(子どもの精神的にも)大変なものらしい。
軽自動車を買えちゃうお金をつぎこむわけで、ここはしっかり考えてみたいと思い、本やママ友の噂話、そして見学を重ねてみました。その内容をここにまとめておこうと思います。
今回、実際に足を運んで検討したのは、いわゆる関東の4大塾のうちの2つ、サピックスと日能研です。
塾選びの参考にさせていただいた本はこちら。
サピックス
御三家や最難関校を目指していたら、まず第一候補になるのがサピックス。
私たち親の世代にはなかった塾ですが、今やその合格実績に追随できる塾が見当たらないほど。
その一番の特徴といえば、「冷徹」とも揶揄されるほど、「学校では『浮きこぼれ』てしまうような、頭の良い子たち」に照準を合わせたカリキュラムにあります。
全国の成績上位2割くらいの子どもたちが「おもしろい!」と思えるような内容のテキストを、一番上のクラスの子から一番下のクラスの子まで使います。もちろん、下位クラスはプリントの基礎問題だけ、上位クラスは応用問題まで解く、みたいにやり方は変えているのでしょうが、やっていない問題だらけのプリントを持ち帰られて、微妙な気分になる親御さんもいらっしゃるそうな。
さほど受験に熱心でない私が住んでいる地区のママさんたちの感覚だと、サピックスに通っているというだけで、「〇〇くんって賢いのね!」と言われるレベル。いや、実際入塾試験がそれなりに難しい(校舎や入塾時期によるけど、小学校でやる範囲の6~8割程度の正解は必要になると思われる)ので、間違ってはいないけど。
学校説明会と入塾テストをお試しで受けさせてみた印象では、冷徹まではいかないけれど、確かにドライな感じではあったかも。「どうぞどうぞうちの塾へ!」というよりは、「うちはこういうやり方ですが、お子さんとご両親が気に入るのならどうぞ」くらいの感じ。
個人的には、復習主義(予習はさせず、教室で初めて新しい単元を習わせる)で、どうやって解くのか子どもたちに話し合わせるっていうスタイルをとっていること、他の塾より通塾回数が少ないところがいいなぁと思いました。
他の塾は4年生から基本的に週3日(2日が授業、1日はテストっていうところが多い)通わなきゃいけないけれど、サピックスはテストも授業のある日にやるので、週2日の通塾で済む。塾の時間も17時-20時で晩御飯のお弁当も不要(なんと休憩なしで3時間勉強するそうですよ!)。
デメリットは自習室がないこと(校舎にもよるかも)、帰ってきてから晩御飯にすると寝るのが遅くなりそう(うちの子は家でご飯食べるのが遅い…)、塾代が高い(4大塾の中で一番高くて3年間で総額300万円ほどする)、都立一貫校行きたいって思ったときのサポートはあまり熱心でなさそう(基本的に難関私立向けの塾ですしね)。
最大の問題は、小学4~5年生のうちに6年生までの学習範囲を一通り終わらせるというそのスピード感に、うちの子ついていけるかしらねという不安が…。ブログなんか読み漁っていると、「サピックスの授業についていくために、個人塾に通っている」みたいな話も散見されるので、なんかそこまでして通わんでもいいんじゃなかろか、という気になる。
入塾試験のときに行われたミニ授業を受けた長女は、「問題がおもしろかったし、授業もわかりやすかったからここ通いたい」と言ってはいたのですが、通うにはちょっと「えいや」な勢いが必要な塾です。
日能研
昔からある全国区の塾なので、私のような田舎っ子でも知ってた日能研。
ご近所のママ友たちは、日能研のことを「小4からの学童」と呼びます。いわく、「学童保育を嫌がるようになる中学年から、『1人自宅でゲーム三昧になるくらいなら勉強しろ』と子どもをつっこむ先」であるらしい。
中学受験を熱く志す子も、学童代わりにと放り込まれた子も、なんだかお友達と楽しそうに通っている、そんな間口の広い塾というイメージ。
カリキュラムの進み方も比較的ゆっくり(6年生の夏までにすべてのカリキュラムを終える)で、4年生の間は他の習い事との両立もしやすく、こつこつ、じっくり進めたいタイプに向く塾だとか。
スカラシップ制がある(塾の費用免除)のは、莫大な塾の費用負担がなくなるという意味で大きなメリットですね。わが子がスカラシップ生になれるかどうかはともかくとして。
他のメリットとしては、自習室があること、校舎によってはお弁当を注文できること、生徒数が多いので模試のデータの正確性が高く、内容も充実していること、などがあげられるでしょうか。
逆に気になる点としては、カリキュラムの進み方がゆっくりなので、スピードの早い塾に転塾したくなったときにまごつきそう、サピックスに比べるとクラス替えの機会が少なく、上位クラスと下位クラスでは扱う問題が違うので、「上のクラスに上がりたい!」となったときには苦労しそう、「受験に本気組」と「学童代わり組」が同じクラスだと、その温度差に困惑しそう、というあたり。
こちらも塾の説明を受けて、テストも受けさせてみました。お話が上手な先生で、「これは確かに子どもは楽しく通うだろうなぁ」という印象。
中学受験経験済みの旦那が、「小学校の先生と、塾の先生の大きな違いは、生徒と友達関係になれるかどうかなんだよ。塾の先生は、塾生にとっては呼び捨てやアダナ呼びできる『友達』になれる存在」と言っておりましたが、納得。
近所でも塾通いの子はほとんどが日能研組。長女の学年にもちらほら日能研入塾を考えている子がいるようで、「〇〇ちゃんと一緒に通う!」というノリで始められそうなのも大きなメリットかもしれません。
総括
で、結局どうすんだって話ですが、正直まだ迷い中…。
中学受験するとしても、がっつり塾通いするのは定説の小3の2月くらいからで良いと思うので、この1年の間に、短期講習や公開テストなどで子どもの反応を見てみようと思います。
ざくっとした所感としては、「受験のスリルを楽しめそうならサピックス」「マイペースにやりたいなら日能研」な印象ではありますが、肝心のわが子がどちら派なのかが、いまいち見えておらず。
塾通いを始めたときにでも、また改めて、なぜその塾にしたのかをお知らせできればと思います。