悪名高きPTAは本当に不要なのか



小学校が始まって2か月がたち、各学校のPTA活動も本格的になってきたころかと思います。何かと悪名高きPTAですが、私は今年クラス代表という役割に立候補しました。

クラス代表は、クラスでの親睦会を実施したり、地域のお祭りの手伝いをしたり、執行部会に毎回出席して情報共有をしたりするのが仕事です。クラスに配布する手紙を自分の名前で作成したり、学年の集まりがあれば前に立って話をしたりする場面もありますが、長女が通っている学校の中では、比較的仕事が少なくラクな役割といわれています。

長女の学校では、在籍中1回は役員をやることが前提となっているので、「さっさと何かしらやっておこう」と思って手を挙げた次第です。そんな後ろ向きな気持ちで始めたPTAですが、執行部の仕事などを知るにつけ、「PTAなど無駄だ、止めてしまえ!」とは、なかなか言い切りにくいのだなぁと思うようになりました。

PTAは何のためにある?

PTAの活動内容は学校によって大きく異なるので一概にはいえませんが、学校や地域行事の企画・運営・お手伝い、安全や防災の見守り、卒業の時などの記念品のとりまとめ、あたりがメジャーでしょうか。ベルマークを集めているところもあるそうですね。

PTAがどうしてこんな活動をやっているかというと、第一には「学校や地域の運営に人手がいるから」ということなのだろうと思います。運動会や体験学習の全てを学校だけで取り仕切ろうとすると、ただでさえ過酷な教員の仕事がさらに増えて授業の質が落ちるかもしれないし、祭りは人手が足りなくなって続けることができなくなるかもしれない。そのため、ある程度の人員が確保しやすいPTAに声がかかるわけです。

「PTAが出ないと継続できないイベントなら、縮小するかいっそ止めてしまえ!」という意見も一理あります。「誰も望んでいないのに何となく継続されているイベント」は無くすべきですが、運動会や夏祭りなどは、子どものために無くしたくないという考えの方も多いのではないでしょうか。

「お金を出して人を雇えばいい」という意見もあります。これも、ものによっては可能ですが、「誰をいつどこからいくらで雇うか」ということを考える役割が結局必要です。学校が事務職員さんなどを雇って、その業務を行ってくれれば良いのですが、予算上そうもいかないところもあるでしょう。

また地域のお祭りの手伝いは、人手意外にも「住民と顔見知りになる」という目的があります。地域住民に顔なじみが多いということは、外部から犯罪者が入り込むのを退ける効果があるともいわれています。また、顔見知りになることで、学校活動の騒音を少々がまんしてもらうなど、協力を要請しやすくもなるでしょう。

PTAを一度はなくしたけれど、結局「保護者の会」が復活したという事例もあるようです。いろいろと問題はあるものの、PTA組織には一定の存在意義があるといえそうです。

何の問題もない組織なんてない

インターネットメディアを中心に、「PTAは魑魅魍魎跋扈する恐ろしい世界」みたいな印象付けがされている気がしますが、少なくとも私が所属しているPTAでは、「透明化しよう、できるだけ無駄を省こう、働く人も参加しやすい体制を作ろう」と多くの方が努力されています。学校であれ会社であれ、完璧な組織などあり得ないですし、ましてやPTAは役員がお金をもらってプロフェッショナルに運営している団体ではないのです。組織運営のド素人が、それでも必要だからと、何十人~何百人の会員・会費をどうにかまとめてくれているのが現状です。

「完璧じゃないから信用できない、だから私はPTAなんて入らないっ!」と断絶してしまうのではなくて、「このようにするのはどうでしょう、私にできることがあればやりますよ」と助け船を出すか、それが状況的にかなわないのであれば、清濁併せ呑むというか、「仕方ないところもあるよね」と気持ちを推し量ってあげることも必要なんではなかろうかと、個人的には思っています。

未来はPTA専門の運用会社ができたりして

とはいえ、働く女性が増えている昨今、平日の昼間に活動できるという方も急激に減っていくでしょう。そのうち結婚式の2次会運営会社みたいに、プロの「PTA運用会社」みたいなのができて、PTA会費は業務委託費に代わっていくのかもしれません。

個人的には、誰にどんな仕事を割り振るかという、今は執行部が行っている業務を運用会社に任せて、予算管理と「今度こんなイベントやりますよ、誰かやりませんか~」という呼びかけを担ってくれたらいいのにな、と思っています。そうすれば、負担も少なくイベントのボランティアを楽しめます。純粋にやりたい人だけ集まればいいから、集められたあとやる気のない人がいてモメる、ということもなくなるでしょう。

PTAの嫌なイメージばかりがメディアで取り上げられてしまい、学校に入る前から強い先入観を持ってしまっている人も多いように感じています。大半のPTAは、TVに取材されるような華々しい改革も会員との断絶もなく、粛々と業務のスリム化に努めているんではなかろうかと推察されます。どうかあまりメディアのイメージばかりにとらわれ過ぎず、またPTAの仕事をかって出てくださっている方々への感謝も忘れず、できる範囲で協力してあげて欲しいなと思う今日このごろです。